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グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク

GSCの評価法としてのLCA

 グリーンサステイナブルケミストリー(GSC)では化学製品や化学技術をライフサイクルの観点から評価する点に特徴があります。これは、サステイナブルケミストリー(SC)が資源の利用を効率よく効果的に行うことを目標とし、グリーンケミストリー(GC)が廃棄物をできるだけ出さないことを目標とすることを組み合わせた概念になります。地球からの資源利用も、地球への環境負荷も、人間が地球へ及ぼすマイナスの影響と考えることもできます。一方で、地球は太陽から無尽蔵のエネルギーを得ています。地球へのマイナスを太陽からのプラスと同等かそれ以下に抑えることができれば、人間の活動は持続可能になります。これは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に化学の力で貢献できることを意味しています。



 ここで、地球へのマイナスを評価する新たな指標が必要となります。しかも、数値で可視化できる定量的な評価法が望まれます。このとき、CO2排出量だけを議論したり、使用原料を減少させる成果のみを評価するのではありません。化学製品や化学技術に対して、原材料の調達から、設計・製造、輸送、使用、廃棄まで製品のライフサイクルを通じて全てを評価します。つまり、製品の原料採掘から最後に土に帰るまで、ひとつ残らず評価する方法です。このように、人間活動により考えられる地球へのマイナスをトータルで考える方法を、ライフサイクルアセスメント(LCA)と言います。

このLCAの評価をわかりやすくする表現するために、四軸法というものがあります。まず、資源利用として「地球からもらうエネルギー量」(石油換算もしくはエネルギー最終形態としてのCO2換算)と「地球からもらう資源量」(金属・木材・原料としての石油など)の2つに分け、縦軸の2指標とします。同様に、環境負荷として「地球へ戻す埋め立て量」(体積換算、埋め立てゴミ)と「地球へ戻す廃棄量」(河川・海・大気へ放出する量、窒素酸化物など)の2つに分け、横軸の2指標と決めます。これら4つの指標はいずれも標準製品(既存技術)を1とした改善程度を相対値であらわします。つまり、評価対象がなるべく小さな四角形をつくるほど評価が高いというわけです。



 具体的な例は【シリーズGSC入門 No.1 サステイナブル社会を先駆けた新しいお洗濯提案】に記載があります。ここでは洗濯洗剤の技術開発にあたり、単に製品だけでなく、LCAの考え方を取り入れて洗濯の過程や廃棄まで洗濯全体を見渡すことで、新たな価値の探求が試みられています。既存製品と比較し、新製品は地球への負荷をトータルで21%(CO2換算で年間5万4千500トン)削減できています。


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