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グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク

GSCの歴史

【国際的潮流において】
 1987年に開催された国連環境特別委員会(World Commission on Environment and Development: WCED, 通称:ブルントランド委員会)で、「持続可能な開発(Sustainable Development)」が提唱されました。この会議では、「持続可能な開発」を以下のように定義しています。
“将来の世代の要求を満たす能力を損なうことなく、現在の世代の要求を満たす発展”
(Development that meets the needs of the present without compromising the ability of the future generations to meet their own needs)
 その後、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで国連環境開発会議(United Nations Conference on Environment and Development: UNCED, 通称:地球サミット)が開催されました。この会議で採択された「環境と開発に関するリオ宣言(Rio Declaration on Environment and Development, 通称:リオ宣言)では、「持続可能な開発」が重要なキーワードとなっています。この宣言を受けて、日本をはじめとする先進各国は地球環境と調和する開発に向けて様々な取り組みを始めました。

【先進国の流れ】
 米国では、環境省(EPA)が中心となり、1994年に「グリーンケミストリー(Green Chemistry)」の概念が提唱されました。グリーンケミストリーの基本的な考えは、「廃棄物を出してから処理するのではなく、廃棄物を出ないように生産する」というもので、この理念は1998年にAnastas博士とWarner博士により「グリーンケミストリーの12ヶ条(Twelve green chemistry principles)」にまとめられました。
グリーンケミストリーの推進のために、1996年よりグリーン・ケミストリー・チャレンジ大統領賞(Presidential Green Chemistry Challenge Awards)が毎年授与されています。また、1997年にはグリーン・ケミストリー・インスティテュート(Green Chemistry Institute, GCI)が設立され、その後2001年よりアメリカ化学会(American Chemical Society)の一部として活動しています。
 EUでも、欧州化学工業連盟(Cefic)が1994年にSUSTECHプログラムを創設しました。このプログラムは、企業、大学、研究機関の共同により、持続可能な開発に向けた技術的R&Dの推進を目的としたものでした。また、1998年に経済協力開発機構(OECD)は、「サステイナブルケミストリー(Sustainable Chemistry)」を提唱しました。その基本的な考え方は「効率よく効果的で安全かつ環境によりやさしい化学製品と化学プロセスを設計、生産、利用する」というものです。
 その後、SUSTECHプログラムは、Cefic や欧州バイオ産業協会(EuropaBio)等により、2004年にSusChemへと再組織化されました。SusChemは、欧州技術プラットフォーム(European Technology Platforms, ETPs)の一つとして、EU の科学技術5 ヵ年/7ヵ年計画におけるサステイナブルケミストリー分野の技術開発戦略の策定・実行に携わっています。
 これらに加え、アカデミアが中心となった種々のグリーン・ケミストリーのイニシアチブが世界各地で立ち上がり、グリーン・ミストリーに関わる多くのシンポジウムや国際会議の開催、学術雑誌の発行が行われています。例えば英国では、グリーン・ケミストリー・ネットワーク(Green Chemistry Network)が英国王立化学会によって1998年に設立されています。また、オセアニア地域では、2000年にオーストラリア政府により Center for Green Chemistry が Monash University に設立され、Green Chemistry Challenge Awards がオーストラリア化学会(The Royal Australian Chemical Institute)によって運用されています。

【我が国の流れ】
 1998 年2 月のOECD 化学品リスクマネジメント委員会で、「サステイナブルケミストリープログラム」が提案されたことを受け、我が国においても通商産業省(当時)の下、その推進策の検討が始まりました。もともと我が国では、公害対策や環境対応の個別技術において世界に先行していましたが、諸外国による戦略的な取り組みの開始により、我が国でも世界と連動する新しい包括的かつ戦略的な対応が求められました。
 1998 年9 月、通商産業省(当時)、工業技術院物質工学工業技術研究所(当時)、業界団体(日本化学工業協会、バイオインダストリー協会、新化学発展協会、化学技術戦略推進機構)、学会(日本化学会、化学工学会、高分子学会)が協議し、グリーンケミストリー連絡会を発足させました。
 1999 年11 月には産学官関係者70 名が参加したグリーンケミストリー(GC)ワークショップが開催され、我が国のGCを、「環境負荷低減」と「持続可能社会」を合せた意味を込めて「グリーン・サステイナブル ケミストリー(Green and Sustainable Chemistry: GSC)」と名付けました。GSCは「人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学」と定義されましたが、その活動指針において化学製品や化学技術をライフサイクルの観点から評価すべきことを提唱している点で先進的な取り組みと言えるものでした。
 GCに関する学会の動きとしては、日本化学会がグリーンケミストリー研究会を設置し、1999 年春季年会および2000 年春季年会でシンポジウムを開催し、化学工学会は2000 年年会でシンポジウムを、また、高分子学会も1999 年年会でシンポジウムを各々開催しました。
 そして2000年3月に、日本におけるGSC活動を効果的かつ強力に推進するためにグリーンケミストリー連絡会を発展的に改組した産学官の連携組識「グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク(GSCN)」が発足しました。
 GSCの推進のため、GSCNは2001年にグリーン・サステイナブル ケミストリー賞(GSC賞)を設立しました。2002年からは経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞が設定され、毎年授与されています。
 2003年には東京で「第1回GSC国際会議(GSC TOKYO 2003)」が開催され、「東京宣言」を採択しました。この宣言は、持続的な発展のために、GSCを化学および化学技術の中心に位置づけるものでした。
 2008年には経済産業省が策定する国家的に重要な産業技術のロードマップを俯瞰する「技術戦略マップ」に、GSC 分野の項目が追加されました。同年にGSC の名を冠した国家プロジェクトであるグリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発が開始され、政府としてのGSCへの取り組みが強化されました。
 2015年、再び東京で「第7回GSC国際会議(GSC-7)」が開催され、「東京宣言2015」が採択されました。この宣言では、世界の化学に携わる者が、社会の豊かで持続可能な発展のため、地球環境との共生、社会的要請の充足、および経済合理性を同時に達成することを目指した研究開発にこれからも取り組んでいくことを再認識し、今後さらに長期的・全地球規模の課題に対して、従来の壁を超えた様々な連携によって十分に取り組んでいくことを表明しています。

【アジアパシフィックの地域への貢献】
 2003年に第1回のGSC国際会議を東京で開催して以来、日米欧持ち回りでGSC国際会議が開催されることが決定され、日米欧3極のグローバルネットワークが構築されました。一方、アジアにおける産業の拡大は、日本が高度成長時代に経験した環境・社会・経済の問題を、地域であるいは国境を超えて、またその速度と規模を増して再現しつつありました。こうした背景の中、日本からGSC を発信しアジア・オセアニアの関係者と共に新しい産業技術体系を構築していくために、GSCアジア・オセアニアネットワーク(AON)の設立が提唱されました。
 2004年よりGSCN主催のシンポジウムにて、日本、中国、韓国、台湾、マレーシア、オーストラリアのGSC活動の推進者によるAON構築の準備が進められました。
 そして、2007年3月にAONの成果としての第1回GSCアジア・オセアニア会議(Asia-Oceania Conference on Green and Sustainable Chemistry:AOC)が東京で開催されました。
 その後、第5回まで国際会議を重ねる中で、インド、シンガポール、香港が加わり、現在のアジアパシフィック地域でのGSC活動を支えています。

(2015年1月29日更新)


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