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各種募集

第5回新化学技術研究奨励賞 および 2016新化学技術研究奨励賞ステップアップ賞


 第5回新化学技術研究奨励賞および2016新化学技術研究奨励賞ステップアップ賞の受賞者は、
厳正なる審査の結果、以下のように決定しました。
 受賞者の皆様、おめでとうございます。
また、多数のご応募を頂き、ありがとうございました。

◇ 2016新化学技術研究奨励賞ステップアップ賞
    産業技術総合研究所 化学プロセス研究部門 山口 有朋
    『リグニンの有用化学物質への変換技術の確立』

◇ 第5回新化学技術研究奨励賞

特別課題:東日本大震災からの復旧・復興に貢献する化学技術に関する研究
     佐賀大学 農学部 上野 大介
     『放射性セシウムレベルが高い河川から取水した農業用水の可給態割合解析』

課題1:グリーン・イノベーションを推進するための資源・プロセス・評価技術に関する環境技術の研究
     東京大学大学院 新領域創成科学研究科 杉本 宜昭
     『原子間力顕微鏡による個々の分子の化学反応の可視化』

課題2:新しい資源代替材料・技術の創製、および資源の節減・回収・再利用に関する基盤的研究
    (エネルギー資源、食料・水資源を含むものとする)
     量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー研究開発部門 星野 毅
     『排CO2利用による革新的リチウム資源回収プロセス研究』

課題3:バイオマスの構造を活かした高機能材料及び化学品に関する研究
     東京農工大学大学院 工学研究院 敷中 一洋
     『非可食植物バイオマスの高純度分離に基づく環境適応型高機能素材の創製』

課題4:創電・エネルギー貯蔵分野における革新素材・技術に関する研究
     該当なし

課題5:電子機器のワイヤレス化を支える、発電・蓄電・送電(無線給電)技術に関わる材料および
    それを用いたシステムの研究
     該当なし

課題6:マイクロナノシステム用途の拡大につながる新規な材料・プロセス及びデバイス技術に
    関する研究
     横浜国立大学大学院 工学研究院 福田 淳二
     『酸素透過性マイクロウェルアレイを利用した毛髪再生医療用デバイスの開発』

課題7:高効率物質生産に必要な新規なバイオプロセスの構築に関する研究
     大阪市立大学大学院 工学研究科 尾島 由紘
     『ナノファクトリーの概念に基づく微生物生産プロセスの革新』
 
課題8:生体分子を利用した、またはその構造と機能に着想した新規機能性材料の実用化を目指した研究
     名古屋大学大学院 工学研究科 鳴瀧 彩絵
     『エラスチン類似ポリペプチドの戦略的な分子デザインに基づく革新的ゲル材料の開発』

     京都大学 エネルギー理工学研究所 中田 栄司
     『高効率な多段階酵素反応を実現するDNAナノリアクターの創製』

課題9:材料の設計・製造・解析・評価を先導する計算化学の研究
     京都大学大学院 理学研究科 金 賢得
     『革新的光機能を発現する高次ナノ構造体の計算科学的デザインと
      高次ナノ材料設計指針の先導的提案』

課題10:日本のものづくり強化と新産業創出に資する「新素材」実現のための基礎的・基盤的研究
     茨城大学 工学部 鈴木 健仁
     『バルクな負の屈折率や高屈折率を有するテラヘルツメタマテリアルの実現』

課題11:化学工業に変革をもたらす低環境負荷反応触媒技術に関する研究 
     横浜国立大学大学院 工学研究院 稲垣 怜史
     『Core-shell構造からなる超高選択性を発現するゼオライト触媒の創製』

第5回新化学技術研究奨励賞および2016新化学技術研究奨励賞ステップアップ賞の審査委員は以下の通りです。
(敬称略 所属、役職は、審査委員会時点のものです)

DIC株式会社 執行役員 R&D本部長兼総合研究所長      玉木 淑文
九州大学 高等研究院 特別主幹教授(崇城大学教授)       新海 征治
量子化学研究協会 理事長(京大名誉教授)            中辻 博
立命館大学 総合科学技術研究機構 上席研究員(京大名誉教授)  今中 忠行
独立行政法人産業技術総合研究所 研究顧問            横山 直樹
東京農工大学大学院 工学研究院 教授              直井 勝彦
放送大学 客員教授(東工大名誉教授)              秋鹿 研一
出光興産株式会社 経営企画部 R&D戦略室長          河野 尚紀



【2016新化学技術研究奨励賞ステップアップ賞 受賞研究の紹介】

リグニンの有用化学物質への変換技術の確立
産業技術総合研究所 化学プロセス研究部門
山口 有朋
 2016新化学技術研究奨励賞ステップアップ賞に選出頂き誠にありがとうございます。新化学技術研究奨励賞の研究で、セルロースから有用化学物質へワンポットで変換する技術開発に取り組みました。バイオマスを化学原料として利用する新化学産業の創出のために、本研究では、バイオマスに含まれるセルロース、ヘミセルロースを化学原料として利用するだけでなく、残ったリグニンも有用化学物質へ変換する技術を確立します。

【第5回新化学技術研究奨励賞 受賞研究の紹介】 

特別課題:東日本大震災からの復旧・復興に貢献する化学技術に関する研究
放射性セシウムレベルが高い河川から取水した農業用水の可給態割合解析
佐賀大学 農学部
上野 大介
 第5回新化学技術研究奨励賞に採択いただき大変光栄に存じます。東日本大震災に関する調査研究は、仙台市の実家が被災し全壊したことをきっかけとして始めました。放射能の問題は、震災から5年が経過した現在でも依然として福島の生産者にとって大きな問題となっており、農学部の教員として現地の農家さんの役に立てることがあればという思いから調査を続けてきました。本賞によってご支援頂けることに深く感謝申し上げます。
課題1:グリーン・イノベーションを推進するための資源・プロセス・評価技術に
    関する環境技術の研究
原子間力顕微鏡による個々の分子の化学反応の可視化
東京大学大学院 新領域創成科学研究科
杉本 宜昭
 この度は、第5回新化学技術研究奨励賞に選出頂き誠に光栄に存じます。本研究では個々の原子分子をイメージングすることができる原子間力顕微鏡を用いて、固体表面に吸着した個々の有機分子の化学反応を実空間で可視化することを目的とします。これにより、触媒反応場で起こる化学反応など、ローカルで起こる化学反応を理解することにつながり、環境負荷軽減を目指したグリーン・イノベーションの推進に貢献します。
課題2:新しい資源代替材料・技術の創製、および資源の節減・回収・再利用に
    関する基盤的研究(エネルギー資源、食料・水資源を含むものとする)
排CO2利用による革新的リチウム資源回収プロセス研究
量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー研究開発部門
星野 毅
 栄えある第5回新化学技術研究奨励賞を頂戴し、心から喜びをかみしめておりますと共に、深く御礼申し上げます。電気自動車EV等で市場急拡大が見込める大型リチウムイオン電池産業の国内発展には、海水や使用済電池からのリチウム資源確保が不可欠です。本受賞は、なお一層、リチウム資源循環型社会の実現へ向け、研究開発を邁進するようにという、力強い応援を戴いたものと存じます。決意を新たに 全身全意、実用化研究を推進してまいります。
課題3:バイオマスの構造を活かした高機能材料及び化学品に関する研究
非可食植物バイオマスの高純度分離に基づく環境適応型高機能素材の創製

東京農工大学大学院 工学研究院
敷中 一洋
 この度は、第5回新化学技術研究奨励賞に選出頂き誠に光栄に存じます。本研究は、強酸 / 強塩基 / 有機溶媒全てを用いることの無い非可食植物バイオマスからの糖類・高分子機能素材抽出を可能とする「植物同時糖化粉砕法」を基幹とします。本課題では植物同時糖化粉砕法で得られる非可食植物バイオマスの芳香族網目状高分子「リグニン」を高機能素材とする新規基幹技術を提案し、新規産業「農工業」の創出を目指します。
課題4:創電・エネルギー貯蔵分野における革新素材・技術に関する研究
該当者無し
課題5:電子機器のワイヤレス化を支える、発電・蓄電・送電(無線給電)技術に
    関わる材料およびそれを用いたシステムの研究
該当者無し
課題6:マイクロナノシステム用途の拡大につながる新規な材料・プロセス及び
    デバイス技術に関する研究
酸素透過性マイクロウェルアレイを利用した毛髪再生医療用デバイスの開発
横浜国立大学大学院 工学研究院
福田 淳二
 第5回新化学技術研究奨励賞に選出頂き誠にありがとうございます。審査委員および関係者の方々に厚く御礼申し上げます。本研究では、毛髪再生医療への応用を目指し、毛包原基を調製・移植できるデバイスの開発に取り組みます。我々は、上皮系細胞と間葉系細胞を混合すると1つの凝集体を形成しつつもその内部で同種細胞同士が集まり、毛包原基が自発的に形成されることを発見しており、この現象を毛包原基を大量調製できるデバイスへと展開します。
課題7:高効率物質生産に必要な新規なバイオプロセスの構築に関する研究
ナノファクトリーの概念に基づく微生物生産プロセスの革新
大阪市立大学大学院 工学研究科
尾島 由紘
 この度は、第5回新化学技術研究奨励賞に選出頂きまして誠にありがとうございます。微生物バイオプロセスは成熟期を迎えており、さらなる効率化には斬新なアイデアが求められつつあります。本研究では、微生物が産生するナノベシクル現象に着目し、「ナノファクトリー」と題した従来にない生産技術を開発することで、微生物バイオプロセスの効率化に貢献したいと考えています。
課題8:生体分子を利用した、またはその構造と機能に着想した新規機能性材料
    の実用化を目指した研究
エラスチン類似ポリペプチドの戦略的な分子デザインに基づく革新的ゲル材料の開発
名古屋大学大学院 工学研究科
鳴瀧 彩絵
 第5回新化学技術研究奨励賞に採択頂きましたこと、心より感謝申し上げます。本研究では、生理食塩水や細胞培地など、細胞と接触させて用いる塩含有水溶液を極低濃度でゲル化できる新しいエラスチン類似ポリペプチドの創出を目指します。このハイドロゲルは、エラスチン特有の粘弾性特性を活かした細胞培養基材や創傷治療剤、再生医療研究のプラットフォーム等として幅広く活用できると期待されます。日本発の新素材を生み出したいと考えています。
高効率な多段階酵素反応を実現するDNAナノリアクターの創製
京都大学 エネルギー理工学研究所
中田 栄司
 この度は第5回新化学技術研究奨励賞に選出頂き、心より御礼申し上げます。本研究では、DNAナノ構造体上に複数種類の酵素を分子数や位置を制御して配置することで、多段階酵素反応場(DNAナノリアクター)を構築します。反応点となる酵素を集積化させることで反応点間が連携し、不安定な中間体を経由するような多段階反応の高効率化が期待されます。それら反応場の設計と反応効率の相関関係を精査しながら、汎用性の高い反応場設計理念の構築を目指します。
課題9:材料の設計・製造・解析・評価を先導する計算化学の研究
革新的光機能を発現する高次ナノ構造体の計算科学的デザインと高次ナノ材料設計指針の先導的提案
京都大学大学院 理学研究科
金 賢得
 第5回新化学技術研究奨励賞に選出頂き誠にありがとうございます。本研究では、高次ナノ構造体の構成要素であるナノ素子と素子間にあるナノ空間および次元性に注目し、そこに多様な操作性を見出すことで新たな量子状態を創り出し、バルク半導体や孤立ナノ素子では達成できない革新的光機能を発現する高次ナノ構造体の集積デザインを提案します。手法的には、有限温度におけるフォノンモードや光励起ダイナミクスを実時間で追う計算手法を完成させ、0 Kの電子構造計算ではつかめない動的な光機能を発見・解明し、高次ナノ構造を基盤にした省スペース・高効率な光電・熱電変換材料の開発を先導します。
課題10:日本のものづくり強化と新産業創出に資する「新素材」実現のための
     基礎的・基盤的研究
機バルクな負の屈折率や高屈折率を有するテラヘルツメタマテリアルの実現
茨城大学 工学部
鈴木 健仁
 この度は第5回新化学技術研究奨励賞に選出をいただき、誠にありがとうございます。今回挑戦するテラヘルツメタマテリアルの3次元化は、極めて高感度なテラヘルツ計測ツールを生み出す基盤材料となる大きな魅力を秘めています。今後も引き続き、現代科学のフロンティア分野を切り拓くことを目標に高感度なテラヘルツ計測技術の研究や、社会実装を強く意識したテラヘルツイメージングシステムの研究に邁進したいと思っております。
課題11:化学工業に変革をもたらす低環境負荷反応触媒技術に関する研究
Core-shell構造からなる超高選択性を発現するゼオライト触媒の創製
横浜国立大学大学院 工学研究院
稲垣 怜史
 この度は、第5回新化学技術研究奨励賞に採択していただきまして,まことにありがとうございます。
 本研究では,粒子の表面処理が可能なメカノケミカル処理をゼオライトに施すことで,既存の化学修飾だけでは達成できていない超高選択性を発現するゼオライト触媒の新たな調製法の開発を進めて参ります。特に中〜大細孔ゼオライト粒子の表面に小細孔ゼオライトを被覆・緻密化することで,小細孔での分子ふるい作用による超高選択的な触媒反応の実現を目指します。



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